展示作品紹介
第40回日春展(2005年)出品作品 「蘭花咲く月日」(40号) 藤島博文作
有田白磁蘭紋御器
花の命はあまりにも短すぎます。その美しさを永遠のものとして残したい。いつしかそんな思いが強くなって参りました。日本画壇を代表する郷土出身の藤島博文画伯と創立130年の伝統を誇り宮内庁御用達の有田焼の窯元である香蘭社の格別のご理解とご協力によりこれらの作品が完成いたしました。
蘭夢天香之図・蘭思清郷之図
河野の蘭にかける理念を表した言葉・蘭夢・蘭思の世界を藤島画伯により芸術化しました。「蘭夢天香之図」は元祖阿波美人を讃え、蘭の女神が天から降りて来て、この地に高貴な香りがあふれる様子を表現しております。対して「蘭思清郷之図」は四国山脈を背景に'あんみつ姫'や'マリーローランサン''プリンセスまさこ'などの花々が生まれた美馬の清郷を壮大な宇宙観と共に描かれております。この6mの大作は構想から実に十数年の歳月をかけ完成いたしました。
七ッ組・屠蘇器
古来よりお正月に用いる調度品で原画は藤島画伯の手により、輪島塗・金蒔絵による蘭の一生を表しております。大台にはひと房の蘭花とそれを浮かべる金色の瑞雲・お重には1株の蘭花・杯台には花つぼみ・三ッ組のお杯にはそれぞれのつぼみ、咲きかけ、満開と咲きゆく様を・お銚子には蘭の結実・お取皿には一輪の花が次々と五輪までめでたく数が増えるよう表現し最後のお箸には蘭根と若芽・箸台には若苗と伸根がそれぞれ描かれております。
創作振袖 訪問着 慶蘭
振袖と訪問着は日本の代表的着物デザイナーであり、NHK大河ドラマの衣裳考証歴25年を誇る東京鈴乃屋会長・小泉清子女史(1997年勲三等瑞宝章受章)による蘭紋総柄の作品です。
伝統的な浮世絵技法による木版画 蘭花譜
かつて蘭の花は一部の富豪や貴族のみが楽しめる文字どおり「高嶺の花」でした。日本にも、明治になって西欧の文化とともにランの栽培が伝えられ関西在住の富豪加賀正太郎も大正三年に京都の大山崎山荘に温室を建て栽培を始めました。氏はこの貴重なランの姿を学術的に後世に伝えるため、これらのランの花を「蘭花譜」という版画にしました。寸分違わず実物通りに描写し、しかも芸術的に表現するため伝統的な浮世絵の手法による木版画にしました。絵師は池田瑞月、彫刻師は大倉半兵衛、摺師は大岩雅和泉堂が分担した三位一体の労作で、桜の一枚板を原板とし、何枚も刷りあわせて完成しました。真に迫る色、木版とは思えない繊細な描写、浮世絵特有の微妙なぼかしなどが特色で世界に誇る植物画といえましょう。類例のない大版(49×95cm)1枚と49×33cmの87枚の木版画、油絵精密画9枚、写真7枚および解説書で構成されている「蘭花譜」を蘭夢美術館では順次展示一般公開いたします。
●屏風公開情報●
特別室に保管しております。予約公開となっておりますので、当美術館までご連絡下さい。